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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)2120号 決定

主文

本件各上告を棄却する。

当審において被告人趙成翼のために附した国選弁護に関する訴訟費用は同被告人の負担とする。

理由

被告人本人趙成翼の上告趣意は共犯関係に関する事実誤認及び量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。同被告人の弁護人津田晋介の上告趣意第一点は所論控訴趣意書(上申書と題するもの)は法定期間経過後の提出にかゝるものであるからこの場合刑訴規則二三八条を適用すべき場合でない限り、原審が同趣意書に対し判断を与えなかったことは当然である。所論引用の判例は適法期間内に提出された控訴趣意書に関する場合であって、本件の場合に当てはまるものではなく、また所論刑訴三六六条は所論もいうとおり、上訴申立に関する規定であって控訴趣意書に準用あるものとは解されないから、所論はすべて採ることができない。

同第二点及び被告人井手巌の弁護人鶴和夫の上告趣意は何れも量刑不当の主張であって、適法な上告理由に当らない。また記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適当すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条(被告人趙成翼に対し)により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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